特定建設業許可の資本金要件について

特定建設業の財務的要件の一つに資本金要件がある

元請として建設工事を請け負った建設業者さんが、その工事について下請業者に発注をかける際、その金額如何によって必要可否が求められる特定建設業許可。

当記事掲載時点においては、4,000万円以上(建築一式工事においては6,000万円以上)の下請負契約を取り交わす場合には、特定建設業許可が求められることになります。

この特定建設業許可ですが、当然のことながら一般建設業許可よりも厳格な要件が設定されておりますから、中でも財産的要件については力業で簡単にクリアできるものではないと言われており、一定の決算状況を有する会社でなければ取得には困難を強いられるでしょう。

また、資本金額を含めた財産的要件の確認は、直前の決算書の内容にて確認がなされますので、基本的には当期決算書にて要件を満たせなかったとなれば次のチャンスは次期の決算となります。

多くの会社が年に1回の決算を設けていることを考えれば、新規にて特定建設業許可を受けたいと思っても、チャンスは年に1回と非常に間口が狭いと言わざるを得ません。

そんな中、決算状況(直近の決算書内容)が非常に良く、求められた要件をほぼほぼパスしているにも関わらず、資本金額だけがクリアできていないといったケースやご相談は少なくありません。

こういったケースにおいても、ルールは同じく直前期の決算書にて要件の確認が行われますから、次期の決算書次第で申請の可否を判断するのが大前提のルールです。

このようにあと一歩のところまで達している会社においても年単位で待たなければ許可取得には至らないのか。

弊所での経験則をもとに、まとめてみたいと思います。

特定建設業許可の財産的要件とは何か?

本題に入る前に、ひとまず特定建設業許可を受けるための財産的要件についておさらいします。

  • (1)資本金が2,000万円以上であること
  • (2)自己資本の額が4,000万円以上であること
  • (3)欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • (4)流動比率が75%以上であること

今回のテーマとなっている資本金額の要件は(1)の内容となります。

特定建設業許可を受けるためには資本金が2,000万円を超える金額に設定されていなければなりません。

ただ、資本金が2,000万円以上であれば良く、少なければ増やせば良いだけの要件であり、極めて単純明快、登記簿上にてその額面が確認できれば良いものとなります。

これに比べ(2)~(4)に要件については、資産など全体のバランスなどが求められますから、小手先の技では要件をクリアすることは簡単ではないでしょう。

資本金額だけがクリアできない場合の措置

冒頭でも記載をした通り、直近の決算状況は要件をほぼほぼクリアしているにも関わらず、資本金額だけがクリアできずに許可取得を見送られている会社も少なくありません。

要件にて求められている額面に達しておりませんから、当然、このままでは特定建設業許可を受けることはできません。

しかし、資本金の額については様々な方法により随時「増資」という手続きを踏むことができることはご存知の通りでしょう。

要は、適宜、増資を行って資本金額を2,000万円以上の額面にすることで財産的要件を満たすことができるわけです。

増資についても色々なケースやパターンがありますが(今回は割愛)、特定建設業許可の要件として求められていることはあくまでも資本金の額面ですので、その方法などについては特段気にすることはありません。

兎にも角にもまずは増資手続きを行って、資本金額の見直しを行いましょう。

資本金の増資を実行した後、すぐに特定建設業許可を受けることができるのか?

特定建設業許可の財産的要件の確認資料は直前期の決算書の内容です。

直前期の決算内容が要件を満たしていない場合には、次期まで待つ必要があることについてもお伝えの通りです。

しかし、資本金以外の要件が直前期の決算書においてクリアしている場合、増資後の登記簿謄本を添付することで特定建設業許可を受けることができる場合があります。

原則的なルールとは異なる部分ですので、都度、管轄行政庁との調整作業は必要と考えますが、少なからず弊所ではこれまで問題なく許可を受けることができております。

但し、当然ではありますが一つの例として利益を資本に組み入れることによって増資させるなど、場合によっては資本金額はクリアしたものの、増資手続の結果、他の要件にかかってしまうこともあるようです。

これでは本末転倒となってしまいますから、決算を担当する税理士や経理の方との綿密な確認は必須と考えます。

また、特定建設業許可の申請を担当する専属の行政書士やスポット的に担当する行政書士が決まっている場合には、この時点から参画してもらうことが要件を適切に満たすためのポイントと言えるでしょう。

結論!資本金額以外の要件を満たしている場合は増資で特定建設業許可を目指そう

昨今の法令改正などによって、資本金額が小さな会社は圧倒的に多くなりました。

最初は小さな資本でも徐々にその規模を拡大し、ついには特定建設業許可にて求める財産的要件を大きく上回るだけの資産状況を築き上げた会社を多く見て参りました。

そんな折、引っかかるのが資本金要件なのです。

増資手続は何かきっかけがないと実行されない会社が多いのではないでしょうか。

そして、この特定建設業許可の取得を望むタイミングも一つの増資のきっかけとも言えそうです。

綿密な計算や管轄行政庁との事前調整は必須と考えますが、資本金額だけが要件に合致していない状況であれば、増資することで次の決算を待たずに特定建設業の新規許可申請を行うことができます。

すぐにでも特定建設業許可の取得が急務となってしまった会社については是非、参考にしてみてください。

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