電気工事を請負って実際に施工する場合には電気工事業者登録が必須
電気工事を請負い実際に現場に出て電気工事を施工することを業として運営する会社もしくは個人事業主は、電気工事業者としての登録、届出、通知のいずれかを行わなくてはなりません。
一つ一つを登録、届出、通知と書くのは面倒なので総称して登録と書きますが、この電気工事業者登録は電気工事を施工する会社にとっては必須の手続きです。
建設業許可のように請負金額の大小によって必要の有無を判断するようなものではないので必ず手続きを取るようにしましょう。
高校などで電気工事士の資格を取られた方が、どこかの会社で数年修行して、その後に独立して電気工事を請負っているなんてケースは多いと思いますが、電気工事業者登録の存在を知らずに何年も請け負ってたよ!って方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、我々の所にもそういった会社さんより大至急にて手続きを取ってくれとのご依頼も年間多くいただきます。
このページをご覧いただくのも何かのご縁。
しっかりとご覧いただければ電気工事業登録という制度についてご理解いただけると思いますので、ご覧になってみてください。
まずは電気工事業法と電気工事士法をしっかりと抑えよう
電気事業法という法律において電気工作物についての定義がなされておりますが、その中でも一般用電気工作物と自家用電気工作物が電気工事業法や電気工事士法において適用されます。
一般用電気工作物とは一般家庭や中規模、小規模の商店などにおける電気設備の電気工作物であり、これに対するものとして一般用電気工作物以外のものとして定義される事業用電気工作物があります。
事業用電気工作物は大規模なものでは変電所や発電所などが挙げられますが、中小ビルなどの需要設備なども含まれており、この事業用電気工作物として分類される電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など)を取り扱う自家用電気工作物については電気工事業法、電気工事士法の適用範囲とされております。
参考程度ですが、発電所や変電所などの公共多くの者への需要に対応した大掛かりな施設においては、専門知識を有した者が保安に当たることが適切と判断されており電気工事業法等からは除外されています。
従って、これから説明する電気工事業法に基づく電気工事業者としての登録、通知、届出を行う上では、この一般用電気工作物と自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の2点についてを施工する会社や個人事業主が対象となりますので、この部分を理解した上で読み進めてください。
電気工事業登録も通知も届出も不要の電気工事がいくつかあるのでご紹介
電気工事業を営むためには手続きが必要だと書いておきながらなんですが、非常に軽微とされる以下の電気工事においては、登録も通知も不要とされておりますので最初に記載しておきます。
ご覧いただくとわかるかと思いますが、イメージとしては昔ながらの街の電気屋さんなどが販売した商品を設置、固定するなどの際に該当することが多いのではないかと考えております。
電気工事業者として運営されている皆様においては以下に該当する工事だけを取り扱っているというのも稀ではないかと考えますので、通常は電気工事業者登録などの何かしらの手続きが必要だと理解していただいて問題ないと思いますが、念のため、ご確認ください。
繰り返しますが、以下の6つの例外に該当する工事以外を施工する場合には必ず手続きが必要ですので間違えないようにしましょう。
電気工事業の登録、届出又は通知が不要となる工事
- 電圧が600V以下で使用される電気工作物で差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧が600V以下で使用されるナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧が600V以下で使用される電気機器(配線器具を除く)又は電圧が600V以下で使用される蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む)をネジ止めする工事
- 電圧が600V以下で使用される電力量計もしくは電流制限器又はヒューズを取り付け又は取り外す工事
- 電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下の物に限る)の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
- 地中電線用の暗渠又は管を設置し又は変更する工事
電気工事業者としての手続きにはいくつかの種類がある
- 登録電気工事業者
- みなし電気工事業者
- 通知電気工事業者
- みなし通知電気工事業者
上記の通り、一言で電気工事業者と言っても、その取り扱う内容などによって大きく分けて4つの種類(手続き)に分かれます。
この4種類のうち、実際に施工する内容と照らし合わせて該当するものについて登録や届出を行えば問題ありません。
以下でも説明を致しますが特徴的なのが「みなし」と冠がついた工事業者。
これらは建設業許可を受けている会社が行う手続きなのですが、言い換えれば建設業許可を受けても電気工事業者としての手続きは無くなりませんので要注意です。
登録電気工事業者の登録について
電気工事を業として事業を開始される会社においては、まず行うべき手続きと言っても良いかもしれません。
電気工事業を運営される会社のほとんどが一般用電気工作物を取り扱っておられると認識しておりますが、この一般用電気工作物の取扱いがある場合には登録電気工事業者としての手続きを行い登録を受けなくてはなりません。
但し、この登録電気工事業者の内容に合致する場合においても、建設業許可を受けている会社や個人事業主の場合には次に説明をするみなし電気工事業者としての手続きが必要となるので注意しましょう。
ちなみに一般用電気工作物とは、
★ 一般用電気工作物
600V以下の電圧で受電し、その受電場所と同一の構内で電気を使用する電気工作物です。一般的には、一般家屋、商店等の屋内配線設備などの電気工作物が該当します。
また、上記と同一の構内に設置される太陽光発電システム等の小出力発電設備(600V以下で出力が50kW未満の設備)も一般用電気工作物となります。引用元:東京都発行の手引きより抜粋
とされております。
登録電気工事業者の手続きを必要とするケース
建設業許可を受けていない会社や個人事業主で、一般用電気工作物のみを施工している場合や、一般用電気工作物と自家用電気工作物の両方を施工している場合に必要となる。
みなし電気工事業者の開始届出について
みなし電気工事業者としての手続きを必要とするケースの判断は極めて単純です。
前述の登録電気工事業者としての施工を行っている会社や個人事業主の方で、建設業許可を受けている場合にはこのみなし電気工事業者としての手続きを必要とします。
建設業許可を受けているかいないかが前述の登録電気工事業者かみなし電気工事業者かの分岐点です。
ちなみに、既に建設業許可を受けていて新たに電気工事業者としての手続きを取る場合には、このみなし電気工事業者の開始届出を行えば問題ありませんが、既に登録電気工事業者としての登録が済んでいて新たに建設業許可を取得した際には、受けている登録電気工事業者を廃止する手続きを取った上で新たにみなし電気工事業開始届を提出する必要がありますから覚えておきましょう。
尚、非常に勘違いをされている方が多いのが建設業許可の許可業種について。
ここで言う建設業許可とは許可業種である「電気工事業」に限定されません。
建設業許可は全部で29の業種に分かれておりますが、そのうちの1つである「電気工事業」以外の業種で建設業許可を受けている場合においてもみなし電気工事業者の対象となりますので、お間違えの無いように手続きを取ってくださいね。
みなし電気工事業者の手続きを必要とするケース
建設業許可を受けている会社や個人事業主で、一般用電気工作物のみを施工している場合や、一般用電気工作物と自家用電気工作物の両方を施工している場合に必要となる。注意点としては建設業許可の許可業種は一切関係なく建設業許可を受けていればみなし電気工事業者となる。
通知電気工事業者の通知について
電気工作物のうち自家用電気工作物に限って施工を行う電気工事業者については通知電気工事業者としての通知を行う必要があります。
冒頭でも説明をしましたが自家用電気工作物とは事業用電気工作物の一部とされておりますが、そのうちの最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など)に限定をされていますのでご確認ください。
また、この通知電気工事業者については建設業許可を受けていない場合が該当をしますので、建設業許可を受けていて自家用電気工作物のみの施工を行う場合には次に説明をするみなし通知電気工事業者をご覧ください。
通知電気工事業者の手続きを必要とするケース
建設業許可を受けていない会社や個人事業主で、一般用電気工作物を取り扱わずに自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など))のみを施工する場合に必要となる。
みなし通知電気工事業者の通知について
前述の通知電気工事業者と同様に、電気工作物のうち自家用電気工作物に限って施工を行う電気工事業者ではありますが建設業許可を受けている場合にはこのみなし通知電気工事業者として届出なくてはなりません。
通知電気工事業者との違いは建設業許可の有無だけですので、間違えることは少ないと思いますがご確認ください。
みなし通知電気工事業者の手続きを必要とするケース
建設業許可を受けている会社や個人事業主で、一般用電気工作物を取り扱わずに自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備(中小ビルの需要設備など))のみを施工する場合に必要となる。注意点としては建設業許可の許可業種は一切関係なく建設業許可を受けていればみなし通知電気工事業者となる。
登録電気工事業者などの手続きは管轄する申請先にも注意しましょう
電気工事業者としての登録などを行う際の申請先は営業所が2つ以上の都道府県に跨るかどうかにて決まります。
電気工事業を営む会社が1つの都道府県内において営業所を構えているのであれば対象の都道府県の窓口にて手続きを行いましょう。
この場合、1つの都道府県内であれば仮に100の営業所を持っていたとしてもその都道府県の窓口にて申請すれば問題ありません。
これに対して、2つ以上の都道府県に跨って営業所を構えている場合には経済産業大臣宛の申請となります。
くれぐれも間違えないように手続きをお取りくださいね!