建物や建造物の解体工事を行うためには解体工事業者登録が必要

ここ数年、高齢化の影響からか多くの空き家が生まれ、大きな社会問題へと発展しております。

これら空き家の多くは解体工事費用や、更地にしてからの固定資産税の問題などからそのまま放置される事態となりました。

確かに所有者や相続人が負担することになる解体工事費用も馬鹿にはなりませんし、更地にした土地では宅地特例は受けられませんから負担は大きくなるばかりです。

空き家に対する社会問題が表面化した今日では市町村などが中心となって解体工事費用に対する助成金制度などを設け、築年数の古い建物や半壊状態の建物などを優先的に解体工事を行うよう促されていることが多くなっているようです。

こういった時代背景にも後押しされ解体工事業者さんも忙しくなるものと思いますし、新たに独立して解体工事業をやりたいという若者もいらっしゃることでしょう。

そんな主に建物を解体し更地に戻す工事などを請負う会社においては、解体工事を施工する現場を管轄する都道府県知事に対して解体工事業者登録を行わなければなりません。

比較的若い法律故に、意外と知らなかったという社長さんや事業主さんもいらっしゃるので手続き漏れが無いように注意しましょう。

尚、建設業許可を受けている場合には解体工事業者登録が免除になる場合があるなどの特例もありますが、このページを上から下までご熟読いただければ解体工事業を運営する上での必要な手続きが一通りわかるものと思いますので是非、ご覧になってみてください。

それでは行きましょう。

解体工事業者登録は工事請負金額の大小で決まるものではない

建設工事全般を取り定める建設業法(建設業許可)においては、一つ一つの工事の請負金額の大小によって許可を必要とするかしないかの判断が決まったり検討材料になったりします。

しかし、解体工事を請負う場合には金額の大小に限らず解体工事業者登録をしなくてはなりませんから注意しましょう。

極端な例を言えば例え1円で工事を請負ったとしても登録が必要となるということです。

解体工事においては非常に専門的な知識が必要であるとの観点から工事の大小に限らず十分の知識や経験を有した者を配置して工事を施工するという決まりとなっているのです。

建設業許可を取らなければならない場合と解体工事業者登録が不要となる場合

金額の大小に限らず解体工事業者登録を受けなくてはならないのは前述の通りですが、工事金額が大きい場合、具体的には一つの工事で500万円を超える工事を請負う場合には建設業許可を取得しなくてはなりません。

建設業法に定めのある通り、500万円以上の工事の請負には建設業許可が必要となるのです。

従って、解体工事業者登録を受けなくてはならないケースとしては500万円未満の解体工事を請負う場合に限定されます。

一般家屋や小規模店舗などを解体する場合には500万円を超えることも少ないようですが、大型店舗や鉄骨造の建物など解体工事費用が大きくなる工事を請負う場合には建設業許可の取得を視野に入れると良いものと思います。

解体工事業者登録と建設業許可との関係(請負金額編)

  • 一つの請負工事が500万円未満の場合には解体工事業者登録で施工が可能
  • 一つの請負工事が500万円以上の場合には建設業許可を受けなければ解体工事を施工することはできない

解体工事業者登録は工事現場がある都道府県の全てに登録してください

この内容も意外と知られていないようで急ぎ案件の多い内容ですから、しっかりとご確認ください。

弊所は群馬県前橋市に事務所を構えておりますが、少し走れば伊勢崎市です。

伊勢崎市は埼玉県と実際に隣接しておりますし、そもそも群馬県南部の地域においては隣接する埼玉県や栃木県などの現場を受け持たれている会社さんも多いはず。

解体工事業者登録のルールとしては解体工事を行う現場を管轄する都道府県知事に対して登録をすることになっております。

つまりは前述の例で群馬県のほかに埼玉県や栃木県にも現場があるもしくは年間を通じて請負うことがあるとなれば、3県全てにおいて登録を行わなくてはなりません。

ここが解体工事業者登録のちょっと面倒なところかもしれませんね。

建設業許可を受けた場合には各都道府県への登録は必要が無くなります

建設業許可は申請先のルールが解体工事業者登録とはちょっと違います。

建設業許可の場合、建設業を営む営業所がある都道府県(又は国土交通省)に対して申請します。

例えば群馬県前橋市の1ヶ所のみ解体工事業を営む営業所がある場合には群馬県知事に対しての建設業許可の申請を行います。

この許可を受けることで埼玉県や栃木県の現場は勿論のこと、47都道府県の全ての現場にて施工することが可能となります。

47都道府県にそれぞれ登録をしなくてはならない解体工事業者登録と比較すると本当に楽できますよね。

特に我々が活動するような他県と隣接している地域であれば商圏が跨ることも多いですから当然です。

だったら最初から建設業許可を取っちゃってよとは良く言われますが建設業許可の要件は簡単ではありませんから、要件を満たせない場合にはまずはここからということになるわけですね。

解体工事業登録と建設業許可との関係(工事施工場所編)

  • 解体工事業者登録を受けて解体工事を施工する場合には現場がある都道府県すべてにおいて登録をしなくてはならない
  • 建設業許可は営業所を構える都道府県で許可を受ければ良く、全国各地の現場に出向くことが可能

解体工事を施工する場合に受けるべき建設業許可の許可業種

建設業許可においては29からなる許可業種に分類されており、その中でも解体工事については「解体工事業」という許可業種を受けることで請負金額の制限なく工事を受注することが可能となります。

また、この29の許可業種を更に分類すると2つの一式工事と27の専門工事と分けられるのですが、2つの一式工事、具体的には土木工事業と建築工事業の許可を受けている者についても解体工事を請負うことができるとされております。

従って、建設業許可を受けて解体工事を施工するためには「解体工事業」、「土木工事業」、「建築工事業」のいずれかを有していることで施工ができるということになります。

もっともこのページをご覧になっていらっしゃる方は解体工事を主として運営されている方が多いでしょうから、取得する許可業種としてはやはり「解体工事業」が多いものと思います。

建設業許可業種である解体工事業はできたてホヤホヤの新設業種です

これまでの長い期間において建設業許可の許可業種は28とされておりました。

これが平成28年の建設業法の改正により新たに1つの許可業種が追加されて29業種となりましたが、その追加された業種が解体工事業となります。

解体工事には非常に多くの危険が付き物であり、事故や近隣トラブルなども多発していたようです。

しばらくの議論がなされた結果、解体工事をめぐる事故や解体時の機械や設備における知識の徹底などを目的に29番目の業種として解体工事業が誕生しました。

この許可業種が追加されたことにより適切に管理すべき非常に重要となる工事として国がお墨付きを与えたことにもなりますし、解体工事を業として運営することへの存在意義が非常に高まったとも言えます。

この辺りの背景的なものを良く自覚いただき、コンプライアンスを徹底の上、運営にご尽力いただきたいものです。

解体工事業者登録に必要な技術管理者の配置

解体工事業者登録は運営する営業所などがあり、申請者において欠格要件への該当が無ければ基本的には登録することができますが、技術管理者の配置が求められますのでこれが一番大きな要件と言えると思います。

技術管理者とは実際に解体工事を施工している現場において、解体工事を施工する上での技術的な管理全般を担う責任者であり法令に規定された一定の資格や実務経験等を有する者が就任することとなります。

技術管理者となる要件を満たせる者が在籍していない場合には解体工事業者登録をすることができません。

以下の資格を保有しているか、実務経験を有しているかのいずれか一つに該当すれば技術管理者に就任が可能ですので確認してみてください。

解体工事業者登録における技術管理者としての要件を満たす国家資格等

  1. 一級建設機械施工技士
  2. 二級建設機械施工技士(第1種)
  3. 二級建設機械施工技士(第2種)
  4. 一級土木施工管理技士
  5. 二級土木施工管理技士(土木)
  6. 一級建築施工管理技士
  7. 二級建築施工管理技士(建築)
  8. 二級建築施工管理技士(躯体)
  9. 一級建築士
  10. 二級建築士
  11. 一級とび・とび工技能検定合格者
  12. 二級とび技能検定合格者(★1年)
  13. 二級とび工技能検定合格者(★1年)
  14. 建設技術士試験合格者
  15. 解体工事施工技士試験合格者(公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施のもの)

 ※ ★の付いた資格者は資格取得後に記載年数の実務経験が必要です。

解体工事業者登録において実務経験による技術管理者を配置する場合の経験期間等

  1. 大学で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
  2. 高等専門学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
  3. 高等学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
  4. 中等教育学校で土木工学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する者
  5. 解体工事に関して8年以上の実務経験を有する者

 ※ 公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する解体工事施工技術講習を受講済の場合には上記の実務経験期間よりそれぞれ1年短縮することができる。
※ 表中の土木工学科等とは土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、都市工学、衛生工学、交通工学及び建築学に関する学科を言います。
※ 表中の中等教育学校とは中高一貫教育により卒業後は高等学校卒業と同等となる学校のことを言います。

実務経験を利用して技術管理者となる際のポイント

弊所でも年間多くの解体工事業者登録手続きに対応をしておりますが、圧倒的に多いのが実務経験による技術管理者への就任案件。

我々の事務所だけのデータですがその数98%超えです。

実務経験証明を行う際にはいくつかポイントがあって実際に解体工事業に携わった経験は勿論なのですが、せっかく経験があってもその経験を積んだ勤務先等が解体工事業者登録をしていなかったり、解体工事を請負っても良い許可業種にて建設業許可を受けていなかったりする場合には証明期間として算入することができません。

これは技術管理者となられる方の責任でも何でも無く、当時勤務していた会社の問題なのですが残念ながらこの場合には実務経験として認めてもらうことはできません。

尚、解体工事業者登録が法令において規制された(必須となった)のが平成13年5月の建設リサイクル法が施行された時からです。

従ってそれ以前に請負った解体工事については特に登録などを求めていたわけではありませんから、平成13年4月までの間に実務経験を積んだ方については請負金額が500万円を超える場合を除いては特に気にする必要はありません。

実務経験証明には原則的に勤務先等の押印が必要となりますので、早めに話してみると良いかもしれませんね。

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