建設業法において建設工事を丸投げすることを禁止している
なんか薬物追放の某CMのパクリみたいなタイトルになっちゃいましたが、建設業界における丸投げのお話。
この丸投げという言葉ですが、建設業界にいらっしゃる方なら一度は聞いたことがあるフレーズではないでしょうか。
丸投げとは、建設工事を請負った会社がそっくりそのまま他の会社によろしくね!と放り投げることを言いますが、法令上は一括下請負という表現をしています。
説明するまでも無いような気がしますが建設工事の丸投げは禁止されており、しっかりと建設業法にも記されています。
最近ではほぼ耳にしませんが、聞くところによると昔は結構、あった話のようです。
それでも、どこどこの会社は丸投げやってるよなどという悪い噂も時々、耳にしますから、現場レベルでは未だに丸投げすることを前提に工事を受けちゃっている会社もあるのかもしれません。
これからはコンプライアンスの時代。
このページでは、これから建設業界にて長く運営を続けていきたいと思われている方のために、丸投げについて説明しております。
しっかり覚えちゃいましょう。
何で丸投げすることが禁止されているのか
そもそも建設業法において何故、建設工事の丸投げを禁止しているのでしょうか。
人によっては工事さえしっかりとやってくれれば別にいいけどと思う方もいるかもしれません。
確かにそういった人はいらっしゃるでしょう。
ただ、こういった考えの人は一部であって、そうではない方々を主として考えられています。
建設工事はそれなりの費用がかかるものが多いですよね。
ですから発注する側は、しっかりと工事をやってくれる業者なのか、思った通りの素敵なものが施工できる業者なのかなど、発注する会社そのものを信頼し、これまでの施工実績などに期待して高いお金を出して依頼するものです。
この信頼がポイント。
せっかく吟味、検討してお願いをした会社がたまたまだったとしても、忙しいからよろしくねと全く聞いたことも見たことも無い会社に丸投げされてしまったらどうでしょうか。
これでは困ります。
また、丸投げを実行することで責任の所在が不明確になる点も大きな要因です。
万一の施工ミスなどの場合、発注者はお願いした業者に文句を言うことになるでしょう。
しかし、実際に工事を請負ったのが別の会社となると工事の責任は工事を行った会社にあるようにも見えてきます。
やはり、どんな仕事でも責任の所在は重要。
そこで、丸投げすることを禁止しているのです。
丸投げとは具体的にどんなケースを指すのか
全部が全部を別の会社に放り投げることが丸投げだと説明してきましたが、そもそも具体的には何が丸投げなのか。
これを理解するためには、逆に丸投げと言われないためにはどのようなことをすれば良いのかを知る方が早いかもしれません。
建設工事を請負った会社はその工事の施工に関して、主たる部分について実質的に関与することが義務付けられています。
何だか、わかりづらい内容かもしれませんがとっても重要です。
もう少し、わかりづらい言葉を並べると、工事を請負った会社が施工についての総合的な企画や調整、指導を行うこととされているのです。
ここでいう企画や調整、指導というものについての具体例としては、注文主との打ち合わせの上、工事計画や工事管理(工程管理)などを行った場合や、下請業者への指導監督を行った場合などが挙げられると思います。
丸投げについては非常にデリケートな部分なので、丸投げに該当してしまう請負形態かもしれないと思ったら、工事を請負う前に是非とも管轄する行政機関への確認はするべきと考えますが、総合的な監督ができていれば丸投げと判断されることはまず、無いでしょう。
丸投げを堂々としても良い場合がある
ここまで散々と丸投げはダメと書き続けましたが、一つだけ、丸投げを堂々と行える場合があります。
これが、一括下請負の承諾というものです。
どういうことかと言うと、直接注文を受けた会社が何かしらの事情によって自社での関与が難しい場合(要は丸投げとなる場合)、注文主にその旨を説明し、他の業者による監理監督のもと施工が行われる旨に承諾したことを書面にて残すことで、特例として丸投げが許されることになります。
注文主が承諾をしているわけですから、まぁ、これを責める理由もないのかと。
法令上は信頼関係が保たれるかどうかを見ているようです。
丸投げ前提の請負はあり得ないと考えますが、止む無くそのような工事となる場合には、施工前に承諾を得ることを徹底しましょう。
ちなみに、丸投げ工事(この呼び方は少々抵抗有ですが)の場合には、この承諾を必ず書面で残してください。
口頭による承諾は何の意味も持たないと思っていただいて構いません。
万一の際の証拠は全くありませんし、建設業許可の申請や決算変更届、更には経審を受信する際に事情説明(証明書類の提出を求められる場合有)を受けることになります。
営業停止などの罰則を受けないためにもしっかりと残しておきましょう。
一括下請負の承諾が有効となるのは民間工事に限定
注文主からの承諾が得られれば丸投げOKという内容は民間工事に限定されていますので注意が必要です。
公共工事の場合には、いかなる理由の場合においても一括下請負は禁止されています。
必ず請負った会社の主たる部分についての実質的な関与が求められますから、総合的な監理監督のもと、施工を進める必要があります。